2008年09月03日

アミノ酸とローヤルゼリー

ローヤルゼリーロイヤルゼリーとも言われる、健康食品の一種です。
その正体はミツバチの中でもはたらきばちの作る女王蜂専用の食料です。


哲学者アリストテレス(B.C.384〜B.C.322)は、その著書「動物誌」の中でローヤルゼリーについて言及しています。

アリストテレスは、独特のクリーム状で、普通のはちみつとは味覚も色も全く異なるこのローヤルゼリーの中に浮かぶミツバチの幼虫が女王蜂へと成長することを知りました。
そこでローヤルゼリー自体が女王蜂を生み出す魔法の鍵だと考えるようになっていたようです。


時は過ぎ、19世紀ごろにはローヤルゼリーの有用性が改めて認識され始めます。

そして1950年代になって、健康食品としてローヤルゼリーを加工する技術が確立し、世界中でローヤルゼリーが注目されるようになったのです。


ローヤルゼリーはアリストテレスの書物を見ても分かるとおり、その有用性以上に神秘性が語られることがあります。
しかし、その実体は女王蜂が生涯にわたって食べることを許された食べ物なのです。
そのため、ローヤルゼリーは別名を王乳とも呼ばれます。


ただ、ローヤルゼリーは最初から女王蜂にしか食べることを許されていないわけでもないようです。
卵から孵化したミツバチの幼虫は、どの幼虫であっても、孵化後の3日間はローヤルゼリーを食べて育てられます。

その後働き蜂となる幼虫たちははちみつと花粉が混ぜられた蜜パンで育てられ、ローヤルゼリーは女王蜂となる幼虫のみが食べ続けることになるのです。
庶民には食べることの許されない食物を、子供のときだけは食べることができる。
「子は宝」とは人間界だけのことではないのかも知れませんね。


さて、王台とよばれる部屋でローヤルゼリーだけを食べることによって、その幼虫は女王蜂へと成長します。
女王蜂は働き蜂にはないいろいろな能力を持つようになります。

まず寿命ですが、働き蜂の1ヶ月余りの寿命に対して、女王蜂は3〜4年と長生きになります。
また、毎日約1500〜2000個の卵を産み続けることができますし、そのために体の大きさは働き蜂の約2〜3倍となります。

働き蜂はメスですが産卵能力がありません。
ミツバチの社会においては、産卵という子孫を残す大事な作業も女王蜂にのみ与えられた特権なのです。


ローヤルゼリーはこれらの驚異的な生命力を支えている栄養の宝庫といえるえでしょう。

ローヤルゼリーの原料はミツバチが花から集めてきた花粉です。
花粉は働き蜂の体の中で消化、分解され、その後、再び生成されて、大あご腺と下咽頭腺から分泌されます。
これがローヤルゼリーの正体です。
はたらきばちは産卵ができない代わりに、体内でローヤルゼリーを作り出すことができるのです。


ミツバチが次世代の女王蜂を誕生させる春から夏にかけて、女王蜂となる幼虫用の特別室がいくつも作られます。
この特別室は通常、王台と呼ばれています。
その形や大きさは、ちょうどピーナッツの殻によく似ています。

王台に産み付けられた卵が孵化すると、働き蜂はローヤルゼリーを分泌して、その幼虫の餌として王台の中にためていきます。

生のローヤルゼリーはこうして生成されます。
乳白色のクリーム状、食べると舌を刺すような酸味のある物質です。

ローヤルゼリーはハチミツの一種と考えられがちですが、実は成分や生成の過程などみても分かるとおり完全に異質のものであるといえます。


ただし、女王蜂の餌という特性を持つローヤルゼリーは、自然の状態ではごくわずかしか生産されることはありません。

そこで、ローヤルゼリーを少しでも多く取り出すため、養蜂家はミツバチの習性を利用してその技術を開発しました。
ミツバチの巣に女王蜂がいなくなると、次の女王蜂候補を探すため、ミツバチは働き蜂の幼虫にローヤルゼリーを与えて、新たな女王蜂を育てるのですが、この習性を利用するのです。

具体的なやり方としては、まず隔王板と呼ぶ道具を使って、女王蜂と隔離された場所を巣箱の中に作ります。
次に孵化したばかりの働き蜂の幼虫を、王台のレプリカともいえるプラスチック製の小さな容器の中に移し替えます。

その人工王台を女王蜂と隔離されたところに挿し入れると、はたらきばちはその幼虫を女王蜂として育てるためローヤルゼリーを与え始めるのです。
ローヤルゼリーが人工王台に貯まるまでの時間は約48〜72時間です。
十分にローヤルゼリーが貯まったら幼虫を取り除いてローヤルゼリーを採取します。

一つの人工王台で採取できるローヤルゼリーの量は約300mgというわずかな量です。
巣箱1箱あたり50〜60個の人工王台をセットしたとしても1箱で1回あたりの生産量はわずかに15g程度なのです。

体重がわずか0.1gにも満たないミツバチが体内で生産するローヤルゼリーの量はごくごく少量です。
それだけにローヤルゼリーは大変に貴重なものであるといえます。

ローヤルゼリーは3大栄養素である炭水化物・タンパク質・脂質をはじめ、人の生命を維持するのに不可欠必須アミノ酸のすべてを含む22種のアミノ酸を主体としています。
ミネラル・各種ビタミンなど、人間にとって大切な栄養素をローヤルゼリーはバランスよく豊富に含んでいるため、健康食品の原料としては大変に優れたものであると言えるのです。


とくにビタミンについては、ビタミンCを除く他のビタミン類は、やはり豊富な栄養を含んでいるといわれるはちみつのさらに数十倍という膨大な量を含んでいます。

さらに「美容のビタミン」といわれているパントテン酸の含有比率は他の食品の中でも群を抜いています。
また特有成分として、その有用性が近年注目を集めている天然の物質として、ローヤルゼリーにしか含まれていることが確認されていない「10-ハイドロキシ-デルタ-2-デセン酸」があります。

このほかにもアセチルコリンが他の食品に比べて豊富に含まれていたり、必須アミノ酸や各種ビタミンなど40種類以上もの栄養素をバランス良く含んだパーフェクトフードがローヤルゼリーであるといえます。


ちなみに、輸入されることも多いローヤルゼリーですが、関税上の扱いは「治療用又は予防用に調製したその他の人又は動物の物質」となっています。

posted by amino-san at 09:23| アミノ酸とローヤルゼリー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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