2008年09月02日

アミノ酸が含まれる料理

1806年、フランスの科学者が世界ではじめて、アスパラガスの芽の抽出物からアミノ酸を結晶の状態で取り出すことに成功しました。
このときにできたアミノ酸は「アスパラギン」と名づけられました。

また、1866年ドイツで小麦粉のたんぱく質であるグルテンからアミノ酸が取り出されます。
このとき取り出されたのが、今でもうまみ成分として有名なグルタミン酸です。


うまみ成分「グルタミン酸」はアミノ酸?

うまみ調味料、いわゆる味の素にうまみ成分として使われているのが、先ほど書いたグルタミン酸にナトリウムを結合させた、グルタミン酸ナトリウムです。
グルタミン酸ナトリウムは、昆布のうまみ成分の研究の途上で発見されたもの。
グルタミン酸ナトリウムとグルタミン酸は実は別のものなのです。

アミノ酸の中でも、アスパラギン酸やグルタミン酸は味としてうまみと酸味を持っています。
例えばトマトなどにはこの2つのアミノ酸が含まれており、その味を形成しています。
専門的に解析すると、アスパラギン酸とグルタミン酸が1対4の割合で含まれていることにより、あのトマトの味が作り出されているとか。


日本料理では昆布やかつお節などからとったダシが味の基本になっています。
料理の決め手はダシの旨さといっても過言ではありません。

ダシの旨み成分の研究も盛んです。
その歴史は、1908年に池田菊苗博士が昆布の旨みがグルタミン酸にあることを発見したことに始まります。

アミノ酸と食べ物の味の関係はさまざまな研究者によって研究されます。
その結果、アミノ酸には、旨みの他に、酸味、甘味、苦味などがあることがわかりました。

また、アミノ酸が数個つながったペプチドにも、アミノ酸と同じく様々な味のあることも判明しました。
食材の味、美味しさがペプチドやアミノ酸の種類と含量に密接に関係していると分かったのです。

雲丹、蟹、トマト…これらはアミノ酸の力によっておいしいと感じる味になっています。
今では、この旨み(umami)というのは、5つ目の味覚として、日本発の味の表現、世界の言葉ともなっています。
ちなみに、旨みがそのままUmamiとして世界に広がったのには、欧米で旨みに相当する適切な言葉がなかっただけのことです。
欧米人でもUmami自体を味わい分けることはできます。


肉、魚、牛乳、大豆といった食材は、アミノ酸の集合体であるタンパク質で構成されています。
タンパク質自体には本来は味がありませんが、その一部が分解されることで、ペプチドやアミノ酸が生成すると、美味しさが増すことになります。
取れたての魚の刺身、処理して間もないお肉。
これらは新鮮ですが、いまいち味気ないものです。
逆に少し時間をおいた方が旨みが増すということはよく知られています。
この理由は先ほど説明したタンパク質とアミノ酸、ペプチドの関係によるものです。

なお、タンパク質からペプチドやアミノ酸が生成される原因は、肉や魚の細胞中のタンパク質分解酵素であるプロテアーゼの機能によるものです。


人間は、食料の保存性をより高めたり、食材をより美味しく食べるために、数千年も前から、多くの知恵をしぼり技術を生みだしてきました。

発酵食品というのはその最たるものでしょう。
醤油、味噌、塩辛、納豆、アンチョビ、チーズなどなど。

これらの美味しさの秘密もやはりタンパク質の分解により生じるペプチドやアミノ酸が関係しています。
発酵食品製造の主役は微生物です。
微生物が生産するプロテアーゼがタンパク質を分解することで、美味しさを作り出しているのです。

ペプチドやアミノ酸は美味しいばかりでなく薬理機能や体の代謝調節機能なども担っています。
発酵食品はアミノ酸、ペプチドの宝庫です。
我々研究者にとって宝の山といえるでしょう。

さらに食べ物の美味しさの成分は他にもあります。
アミノ酸とは異なる物質がかつお節の旨みには関連していることが判明しています。
posted by amino-san at 06:50| アミノ酸と料理 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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